ミドルアップダウンでのデザイナー成長環境への取り組み

このエントリは Pepabo Managers Advent Calendar 2018の9日目の記事です。

わたしは GMOペパボ 福岡オフィスにてホスティング事業部のマネージャーを務めています。このエントリでは2018年行っていた組織改善の取り組みを1つ紹介したいとおもいます。

実現したかったこと

「エンジニアのみならず、デザイナーの成長環境を福岡オフィスとして向上させていくこと。」

「いるだけで成長できる環境」をコンセプトとしてペパボのエンジニア組織はここ数年で大きく進歩を遂げました。理念「もっとおもしろくできる」を中心に、エンジニアの制度・働き方や、本Advent calender1日目 @hsbt のエントリエンジニアリングマネジメントについて にもあるように制度・組織構造としてのハード面、「Nice Try」「速」「ペパボカクテル」といった文化・教育としてのソフト面、と網羅的に取り組んでいます。それらの仕組みが機能することで急速に変化するIT技術に適応し、エンジニアリングは事業成長の礎として成り立っています。

デザイナー組織についても、シニアデザイナーを中心としたデザイン組織改善の取り組みは継続して議論されており、昨年は全社的な位置づけで「デザイン戦略チーム」も誕生しました。これらはデザイナー現場レベルのボトムアップ、組織構造としてのトップダウンと両側からの取り組みと言えると思います。それに加え、現場のデザイナーが所属する事業部のマネジメント層がミドルアップダウンでの取り組みを行うことが、強いデザイニング醸成の加速につながるのではと思っています。

特に福岡オフィスはペパボ研究所の活動拠点となっています。R&Dで産まれた技術をプロダクトに展開し、ユーザー価値を最大化するためには?と考えたとき、ユーザー視点というアプローチに強いデザイニングが必要だと思っています。

今年取り組んだこと

取り組んだことは主に以下2つです。

1. スキルセットの言語化
2. 他社さまとの勉強会/イベントの共催

1. スキルセットの言語化

デザイン戦略チーム @satosioホスティング事業部シニアデザイナー @_shige_yuka と事業部マネージャーとで、スキルセットの言語化に取り組みました。「デザイン業務」といってもビジュアルデザイン、インタラクション、インフォメーションアーキテクチャ、リサーチなどなど、それぞれ必要とされるスキルは異なります。「誰々は〜が強い」「誰々は〜を目指している」と、スキルセットが言語化され、且つ他業種・マネージャーにも共有されることでの、若手デザイナーのキャリア設計・タスクアサイン時の最適化を目指しました。なお以下の書籍を参考とし「等級によって必要となるスキルは異なるのでは?」「共有し定着するにはどこまでの細分化が適切なのか?」など議論を重ねました。

デザイン組織のつくりかた デザイン思考を駆動させるインハウスチームの構築&運用ガイド

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本取り組みは @satosioにより「デザイン専攻」という形で全社的な取り組みとなりました。別の場所で紹介される機会があると思いますので詳細は割愛します。

2. 他社さまとの勉強会/イベントの共催

「自らの知見を言語化し伝える」「外の知見に触れる」機会は特に弊社のように組織内のインハウスデザイナーにとって十分には無いのではないか、と考え、外も巻き込み成長環境としての勉強会/イベントの共催に取り組みました。

ホスティング事業部デザイナーでHCD-Net認定 人間中心設計准専門家の@keita_kawamoto や @_shige_yukat を中心に、他社さまとの勉強会を定期開催しました。広告制作会社 株式会社彩さまとの勉強会は弊社公式ブログでも公開しております のでぜひ見てみてくださいね。

そのほかフリーエンジニア@take2webservice と「デザイナーを中心としたコミュニティを立ち上げたい!」という目的が一致し、デザイナーイベント ThinkDESIGN を定期開催しています。#1ではホスティング事業部 デザイナー @tomemot@Yoshiro Matsumoto によるムームードメインリニューアルの話や、#2では同じくデザイナー@mrkmrk_ によるLT参加もありました。

若手デザイナー @ryo_f_0828@har_439_04hz も企画・準備、当日外部デザイナーとの交流を積極的に行うことで刺激をうけていました。

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もはや名物となった@_04hzによる黒板アンケート(写真は#2)

これらがなぜ成長環境への取り組みと言えるのか?

これらの取り組みが定着することで「経験→内省→概念化→実践」コルブの経験学習モデルにおいて網羅的な質向上となることを期待しています。

1. スキルセットの言語化

自分がどんな能力に長けていて、どんな経験を積みたいか、希望と周囲の理解が一致すれば、業務経験の最大化へとつながると考えています。

2. 他社さまとの勉強会/イベントの共催

外部の知見を得ることは特にインハウスデザイナーとって視座を高めることに役立ちます。それは経験したことの内省、概念化、実践において質の向上につながると考えています。

これから

これらは事業成長に成果を出しているとまだまだ言えず、スタートに立ったばかりです。これからデザイナーの成長に伴いボトムアップに変化が起きると思います。事業環境の変化によりトップダウンにも変化は起きると思います。そのなかで、デザイニングを伸ばし、エンジニアリングと共によりよいプロダクトを作り出していけるよう、「ミドルアップダウン」にてできることを今後も考え、取り組んでいく所存です。